設立趣意

内閣府の定めた日本再興戦略では観光立国が大きな柱の一つとして据えられています。

それを担い実現していくのは地方ですが、長年その地に住み続けている住民が、自らのあるがままの価値に気付き、サービスとして提供していくことは至難の業です。「何もないから」という認識からのスタートを行えば、他地域と変わらない快適なサービスを提供するため、地域の独自性を失う開発が行われたり、地域の受け入れ容量を超えトラブルを抱えたりすることも引き起こされてしまいます。

そもそも観光立国するためにはいったいなにが必要なのでしょう。情報や流通が高度に発展した現在においてもっとも重要な観光資源とは、取り寄せやネットサーフィンでは味わえない、各地域の多様性を五感で体感することが出来る空間やサービスなのではないでしょうか。

それは、その土地ならではの日常の生活や、文化であり、それを支える豊かな自然環境です。つまり「衣、食、住」土地の食、ふれあいのある泊、癒しの温泉、自然を感じられる「野遊び」は地域の多様性を空間で提供することが可能な観光資源となるのです。
 ようやく、身近にあるものに価値を見出すことの難しさについて認識する自治体が現れ、地域おこし協力隊、移住者などにスポットが当たるようになりました。彼らの持つ「外からの目」でみることで「あるがままの価値」は発見されるようになりましたが、次の課題は「野遊び」について専門知識、技能をもつ人材が決定的に不足していることです。

また、海外からの旅行者などが注目した豊かな地域資源に、野放図に人が集中してしまう事で、地域資源を壊されるなどのオーバーツーリズムという問題も起きてきました。また、農林水産業者との軋轢も発生し、地域資源の持続性を考える上で、野放図な観光開発が持つ危険性を回避する地域着地型のグリーンツーリズムへのシフトが求められています。

外部からの視点を観光を通じて農林水産業者と共有する形を積み重ねる事で、6次産業化の機運を生むことだけでなく、継業を希望する人材とのマッチング機能を備えた形で、農林水産業者と協働することが可能な観光開発を行える人材の発掘も期待できます。

地域との軋轢を生まずサスティナブルな観光開発や地域の発展のために、特に限りある資源である自然環境を活用したアクティビティにおいては、ローカルに悪影響を与えない数多の配慮が必要となります。旅行者に情報を提供するだけではなく、時には随行し地域への深い洞察を伴ったコンシェルジュのような存在が必要となります。

 そういった社会背景にあって認知度の低かった「アウトドアガイド」に注目が集まり始めました。

 アウトドアガイドは専門知識と技術、経験に基づくリスクマネジメント力そしてホスピタリティ、コミュニケーション力、フィールドとなるエリアの知識が必要不可決です。それは一朝一夕で得られるものではなく、体系化されたトレーニングや一定の経験が必要となります。その圧倒的に不足しているアウトドアガイドの専門家集団をつくり、地方行政や団体からの依頼を受け、地域社会の課題解決に寄与します。観光立国を強力に前進させることがアウトドアガイドの使命のひとつです。アウトドアで遊ぶ機会を創出し、観光客を呼ぶきっかけつくりには欠かせません。そのアウトドアアクティビティーを継続可能なものとして企画運営するノウハウを共有し、安全で無理なく、みんなが楽しめて、郷土愛を育むことを目的としてこの会を設立します。